チリワインの主要ブドウ品種

降水量が少なく昼夜の寒暖差の大きい典型的な地中海性気候のチリは、まさにブドウを育てる利用の環境とも言えます。

今回はチリで生産されるブドウ品種の概要についてご紹介します。

フランス系品種がメイン

フランスよりワイン造りの技術移転がなされたチリでは、主にフランス系の国際品種が多く栽培されています。特に全生産量のうち75%が赤ワイン用品種です。

健全なブドウが育つ環境

雨量の少ないチリでは、ブドウの病害発生リスクも少ないため、多くが無農薬で生産されています。

オーガニック生産者(自然派ワイン)といった言葉がありますが、チリでは当たり前のように浸透しており、あえてオーガニックを名乗らない生産者も多くいます。

温暖な気候下では、完熟したブドウが収穫できます。完熟ブドウからはアルコール度が高くパワフルなワインが作られる反面、こうしたブドウから作られるワインには独特のミントのような香りやピーマン臭さを感じることがあり、時に「チリ臭」などと揶揄されてしまうことがあります。

こうしたことから、近年では冷涼な気候を求めて標高の高いエリアでのブドウ畑の開墾も進んでおり、より洗練された高品質のワインも作られるようになっています。

絶命したと思われていたカルメネーレ

カルメネーレ

カルメネーレは、チリならではの独自ブドウ品種としても注目されています。

元々はボルドー原産の黒ブドウ品種で、19世紀のヨーロッパで流行したフィロキセラ害において絶滅したと考えられていました。

しかし同じ頃にボルドーからチリに移植され害を逃れていたのですが、チリでは長くメルローと勘違いされていたため、すっかり消滅してしまったと考えられていたのでした。

それが近年になってDNA検査によってチリで現存していることが確認され、現在ではチリ独自品種として売り出し、その人気も高まっています。

主要ブドウ品種

栽培される主なブドウ品種は下記の通りです。

黒ブドウ品種

カベルネ・ソーヴィニョン
主にフランスボルドー地方で栽培される黒ブドウ品種。酸味と渋みが豊富でパワフルなワインを生み出します。チリ国内で生産量第1位を誇るブドウ品種です。
メルロー
同じく主にフランスボルドー地方で栽培される黒ブドウ品種。濃厚ながらもやや滑らかなワインが作られます。チリ国内生産量第2位を誇る品種です。
カルメネーレ
フランスボルドー地方が原産。現在はチリの独自品種として注目を集めています。エキゾチックな香りが印象的な独特の赤ワインが作られます。

その他にも、ピノ・ノワールなどのフランス系品種を中心に実に様々なブドウが栽培されています。

白ブドウ品種

ソーヴィニョン・ブラン
主にフランスボルドー地方で栽培される白ブドウ品種。温暖なチリでは、ボルドー地方より柑橘系のニュアンスの強いワインが作られます。白ブドウでチリ国内生産量第1位。
シャルドネ
主にフランスブルゴーニュ地方で栽培される白ブドウ品種。温暖なチリでは、トロピカルフルーツのニュアンスが強いワインが作られます。白ブドウでチリ国内生産量第2位。

その他、リースリングなど様々なブドウ品種が栽培されています。