今回は基本のスティルワインの作り方についてご紹介を致します。
目次
赤ワインと白ワインの製造方法の違い
まず、基本的な赤ワインと白ワインの製造の違いについてです。
ブドウ原料の違い
基本的には赤ワインには色素のある黒ブドウ品種、白ワインには色素のない白ブドウ品種が用いられます。
一部に例外的なブドウ品種(灰色ブドウから白ワインを作る)があったり、シャンパンなどにおいては黒ブドウ品種から色素を抽出せずに白ワイン(泡)を作ることがあります。
発酵と圧搾(プレス)の順番の違い
赤ワインの場合は、ブドウの皮や種などを残した状態で発酵を行い、その後にジュース(ワイン)を絞ります。
白ワインの場合は、最初にブドウを圧搾してジュースを絞り、その絞ったジュースを発酵させます。
ワインの製造工程概略
赤ワイン | 白ワイン |
---|---|
①ブドウの収穫 ②除梗・破砕 ③発酵・醸し ④圧搾(プレス) ⑤マロラクティック発酵(MLF) ⑥貯蔵・熟成 ⑦澱引き ⑧清澄 ⑨ろ過 ⑩瓶詰め | ①ブドウの収穫 ②除梗・破砕 ③圧搾(プレス) ④発酵 (⑤マロラクティック発酵(MLF)) ⑥貯蔵・熟成 ⑦澱引き ⑧清澄 ⑨ろ過 ⑩瓶詰め |
赤ワインの基本的な造り方
①ブドウの収穫
収穫したブドウは悪くならないように速やかに醸造所に運ばれます。
収穫したブドウは悪くならないように速やかに醸造所に運ばれます。
②除梗・破砕
ブドウの梗を取り除き、果汁が流出しやすいようにブドウの除梗・破砕機に投入して軽く潰します。複雑性を出したい場合は除梗を行わず全房で発酵する場合もあります。
ブドウの梗を取り除き、果汁が流出しやすいようにブドウの除梗・破砕機に投入して軽く潰します。複雑性を出したい場合は除梗を行わず全房で発酵する場合もあります。
③発酵(1週間から10日前後)
軽く潰したブドウを果皮や種子と共に発酵容器に移します。ここでブドウ果汁に含まれる糖分と、酵母(自然または培養酵母を添加)が反応し、アルコールと二酸化炭素が生成されます。発酵の際には熱が生じますが、温度が上がりすぎるとワインの繊細さが失われてしまうため、温度管理には細心の注意払います。赤ワインの場合は、色素や渋みの抽出を促すために白ワインに比べて発酵温度はやや高め(30度前後)に保たれます。近年は温度管理がしやすいステンレスタンクによる発酵が主流です。さらに、色素や渋みの抽出のために、発酵が終わったワインを種子や果皮と共にしばらく置いて醸します。早のみタイプのワインの醸しは短く、長期熟成タイプのワインの醸しは長めにします。
軽く潰したブドウを果皮や種子と共に発酵容器に移します。ここでブドウ果汁に含まれる糖分と、酵母(自然または培養酵母を添加)が反応し、アルコールと二酸化炭素が生成されます。発酵の際には熱が生じますが、温度が上がりすぎるとワインの繊細さが失われてしまうため、温度管理には細心の注意払います。赤ワインの場合は、色素や渋みの抽出を促すために白ワインに比べて発酵温度はやや高め(30度前後)に保たれます。近年は温度管理がしやすいステンレスタンクによる発酵が主流です。さらに、色素や渋みの抽出のために、発酵が終わったワインを種子や果皮と共にしばらく置いて醸します。早のみタイプのワインの醸しは短く、長期熟成タイプのワインの醸しは長めにします。
④プレス
ブドウから自然に流れ出たワイン(フリーランジュース)を分けた後に、軽くブドウをプレスしてワインを絞ります。繊細な味わいのフリーランジュースと、色濃いが雑味が多いプレスワインは、仕上がるワインのコンセプトによって使い分けられます。
ブドウから自然に流れ出たワイン(フリーランジュース)を分けた後に、軽くブドウをプレスしてワインを絞ります。繊細な味わいのフリーランジュースと、色濃いが雑味が多いプレスワインは、仕上がるワインのコンセプトによって使い分けられます。
⑤マロラクティック発酵
ワインに含まれるリンゴ酸の成分が、空気中の乳酸菌の作用により乳酸に変化する現象です。ほとんどの赤ワインで自然に起こりますが、シャープな酸味であるリンゴ酸を、まろやかな酸味である乳酸に変える狙いがあります。
ワインに含まれるリンゴ酸の成分が、空気中の乳酸菌の作用により乳酸に変化する現象です。ほとんどの赤ワインで自然に起こりますが、シャープな酸味であるリンゴ酸を、まろやかな酸味である乳酸に変える狙いがあります。
⑥貯蔵・熟成
ワインを落ち着かせるために、ワインを貯蔵・熟成させます。貯蔵容器(新樽または古樽)や熟成年数の違いによっても、ワインの味わいが大きく変化します。
ワインを落ち着かせるために、ワインを貯蔵・熟成させます。貯蔵容器(新樽または古樽)や熟成年数の違いによっても、ワインの味わいが大きく変化します。
⑦澱引き
アルコール発酵の際に活躍した酵母の死骸が、タンクの底に澱(おり)となって蓄積しているので、上積み液を別容器に移して取り出します。熟成中に数回行われます。
アルコール発酵の際に活躍した酵母の死骸が、タンクの底に澱(おり)となって蓄積しているので、上積み液を別容器に移して取り出します。熟成中に数回行われます。
⑧清澄
卵の白身やゼラチン、ベントナイトなどの清澄剤を添加してワイン内の大きなゴミを取り除きます。
卵の白身やゼラチン、ベントナイトなどの清澄剤を添加してワイン内の大きなゴミを取り除きます。
⑨ろ過
さらに遠心分離器やミクロフィルターにかけて完全にゴミを取り除きます。ワインに深みをもたらすために、完全にろ過しない場合(ノンフィルター)もあります。
さらに遠心分離器やミクロフィルターにかけて完全にゴミを取り除きます。ワインに深みをもたらすために、完全にろ過しない場合(ノンフィルター)もあります。
⑩瓶詰め
瓶詰め・コルク栓をして出荷を待ちます。ラベルは出荷直前に貼られます。
瓶詰め・コルク栓をして出荷を待ちます。ラベルは出荷直前に貼られます。
白ワインの基本的な造り方
白ワインの場合は、雑味の原因となってしまうブドウの果皮や種子は発酵には使わず、液体(ブドウジュース)のみを発酵させます。
①ブドウの収穫
収穫したブドウが悪くならないように、速やかに醸造所に運ばれます。
収穫したブドウが悪くならないように、速やかに醸造所に運ばれます。
②除梗・破砕
ブドウの梗を取り除き、果汁が流出しやすいようにブドウを除梗・破砕機に投入して軽く潰します。
ブドウの梗を取り除き、果汁が流出しやすいようにブドウを除梗・破砕機に投入して軽く潰します。
③圧搾(プレス)
ブドウから自然に流れ出たフリーランジュースを取り、さらに圧搾してプレスジュース絞ります。フリーランジュースとプレスジュースの比率は赤ワインと同様に仕上がるワインの目的によって使い分けます。
ブドウから自然に流れ出たフリーランジュースを取り、さらに圧搾してプレスジュース絞ります。フリーランジュースとプレスジュースの比率は赤ワインと同様に仕上がるワインの目的によって使い分けます。
④発酵
ブドウに含まれる糖分が酵母と反応してアルコールが生成されます。白ワインの場合は特に発酵温度が上がり過ぎないように温度管理が徹底されます。20度程度と赤ワインに比べても低めに保たれます。
ブドウに含まれる糖分が酵母と反応してアルコールが生成されます。白ワインの場合は特に発酵温度が上がり過ぎないように温度管理が徹底されます。20度程度と赤ワインに比べても低めに保たれます。
⑤マロラクティック発酵
ワインに含まれるリンゴ酸が乳酸菌に変化する働きです。白ワインの場合はあえて行わない場合もあります。
ワインに含まれるリンゴ酸が乳酸菌に変化する働きです。白ワインの場合はあえて行わない場合もあります。
⑥貯蔵・熟成
ワインを落ち着かせるために、ワインを貯蔵・熟成させます。白ワインの場合は赤ワインに比べて樽熟成の比率はやや少なめですが、やはり使用する樽の材質や熟成期間によって大きく味わいが変化します。
ワインを落ち着かせるために、ワインを貯蔵・熟成させます。白ワインの場合は赤ワインに比べて樽熟成の比率はやや少なめですが、やはり使用する樽の材質や熟成期間によって大きく味わいが変化します。
⑦澱引き
アルコール発酵の際に活躍した酵母の死骸が、タンクの底に澱(おり)となって蓄積しているので、上積み液を別の容器に移して取り出します。熟成中に数回行われますが、澱と共に熟成する方法(シュール・リー)もあります。
アルコール発酵の際に活躍した酵母の死骸が、タンクの底に澱(おり)となって蓄積しているので、上積み液を別の容器に移して取り出します。熟成中に数回行われますが、澱と共に熟成する方法(シュール・リー)もあります。
⑧清澄
卵の白身やゼラチン、ベントナイトなどの清澄剤を添加してワイン内の大きなゴミを取り除きます。
卵の白身やゼラチン、ベントナイトなどの清澄剤を添加してワイン内の大きなゴミを取り除きます。
⑨ろ過
さらに遠心分離器やミクロフィルターにかけて完全にゴミを取り除きます。
さらに遠心分離器やミクロフィルターにかけて完全にゴミを取り除きます。
⑩瓶詰め
瓶詰め・コルク栓をして出荷を待ちます。ラベルは出荷直前に貼られます。
瓶詰め・コルク栓をして出荷を待ちます。ラベルは出荷直前に貼られます。
酸化防止剤添加のタイミング
雑菌の繁殖やワインを酸化から守る酸化防止剤「二酸化硫黄SO2」などは下記のタイミングで投入されます。
①ブドウの除梗段階(ブドウの殺菌)
②貯蔵熟成段階(樽の殺菌)
③瓶詰め段階(瓶の殺菌)