シェリーは、スペイン南部のアンダルシア地方「ヘレス・デ・ラ・フロンテラ」周辺で作られる酒精強化ワインです。ポルトガルのポートやマデイラと共に世界3大酒精強化ワインとしても知られています。
尚、「シェリー」は英語名であり、スペイン語では「ヴィノ・デ・ヘレス」と呼ばれます。
産膜酵母による熟成
シェリーの製造方法の特徴の一つに、産膜酵母による熟成があげられます。産膜酵母は、ワインを熟成させる際、樽の中にワインを目一杯まで詰めずわざと隙間を空けておくことで、液体の表面にできる白い膜のことを言います。これは「フロール」とも呼ばれワインの劣化を防ぐと共に、ワインに独特の風味を与えます。
シェリーの主要なタイプ
一般的にシェリーは辛口に仕上げられますが、製法の違いによって様々なタイプがあります。
Fino(フィノ) | 最も一般的なシェリー。辛口で淡黄色。フロールと呼ばれる産膜酵母で熟成される。 |
Manzanilla(マンサリーニャ) | 海辺の町「サンルーカル・デ・パラメーダ」で熟成させた「フィノ」。海に近いためわずかに塩気を感じるものもある。 |
Oloroso(オロロソ) | 最初に17%まで酒精強化を行うことでフロールの成長を阻害し、酸化熟成させる。甘口と辛口の両方があり、強い香りとマホガニーの色調が特徴。 |
Amontillado(アモンティラード) | フィノとオロロソの中間的な味わいのシェリー。最初はフィノと同様に産膜酵母で熟成させるが、後に再び17%まで酒精強化し、オロロソのように酸化熟成させる。琥珀色でナッツの風味を持った味わいが特徴。 |
ソレラシステム
シェリーでは「ソレラシステム」という独特の貯蔵熟成・ブレンドシステムが用いられます。これは、古い樽から新しい樽を順番に重ね、下の樽から抜き取ったワインを上の樽から次々に補充していくという方式です。
一番下の樽が最も古い樽となり、ここから少しづつ抜き取ったワインを、最終的に一つの樽に移して均質化した後に瓶詰め・出荷がされます。
このシステムでは複数の年代のベースワインを徐々にブレンドしているためラベルにブドウ収穫年を記載することはできませんが、毎年安定した品質のワインを出荷することが可能となります。