ロワール地方のワイン生産地区の概要

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ロワール川流域は「フランスの庭」とも呼ばれ、多くの古城が建ち並ぶ。

ロワール地方は、全長1,000キロにも及ぶフランス最大の河川ロワール川の流域に広がるワイン産地です。ロワール川流域には多く古城が建ち並び「フランスの庭」とも呼ばれ、観光地としても名高い地域です。

品揃えは国内随一

西から吹く偏西風の影響による冷涼で湿潤な気候から軽快で軽やかなワインが多いですが、生産地は東西に広く広がり、地区ごとに気候や土壌などが異なります。高級ワインは決して多くない地域ですが、とにかく品揃えが多く、それぞれのテロワールに即したブドウが栽培されており、白ワイン、赤ワイン、ロゼワイン、スパークリングワイン、貴腐ワインなど、非常にバラエティー豊富なワインが作られています。

生産地と銘柄

生産地は、下記のように大きく4つの分かれます。

ペイナンテ地区ナント市を中心とした白ワインの大生産地。『ミュスカデ』が有名。
アンジュー&ソーミュール地区アンジュー市の周辺から上流のソーミュール市まで広がる産地。
トゥーレーヌ地区トゥール市を中心に広がる産地。
サントル&ニヴェルネ地区ロワール川最上流の生産地。左岸の『サンセール』と右岸の『プイイ・フィメ』が有名。

下記からは各地区の代表的な銘柄をご紹介します。

ペイナンテ地区

ロワール川下流域のペイ・ナンテ地区はムロン・ド・ブルゴーニュを使った軽快な白ワインが作られます。

Musucadet【白】
ミュスカデ
ナント市周辺の中心部に広がる。
Musucadet-Sèvre et Maine【白】
ミュスカデ・ド・セーヴル・エ・メーヌ
ナント市の南西に広がる地区内で最大面積のA.O.C。場所によっては力強いワインを生み、2011年よりA.O.C名に続き村名が可能に。
Musucadet-Côte de Grandlieu【白】
ミュスカデ・コトー・ド・グランリュー
1994年認定された新しいA.O.C。グランリュー湖の周辺に広がる。
Musucadet-Coteaux de la Loire【白】
ミュスカデ・コトー・ド・ラ・ロワール
ナント市の北東に広がる。他の生産地より標高の高い地域にありフレッシュなワインが作られる。

ミュスカデに使われる白ブドウ「ムロン・ド・ブルゴーニュ」は、A.O.Cの名前からそのブドウ名も「ミュスカデ」とも呼ばれる事があります。マスカット系の「ミュスカ」や「ミュスカデル」とは異なります。また、滓ともに熟成させる「シュール・リー」製法が用いられ、ラベルに「シュール・リー」を表記することができます。

アンジュー&ソーミュール地区

アンジュー市の周辺から約40km上流に位置するソーミュール市までに広がる地区です。赤、ロゼ、白、貴腐ワインなど様々なステイルのワインが作られます。

Anjou【赤・白】
アンジュー
アンジュー地区一体で作られる。白はシュナン・ブラン主体、赤はカベルネ・ソーヴィニョンとカベルネ・フラン主体。ガメイで作らた場合はアンジュー・ガメイ。
Cabernet d’Anjou【ロゼ】
カベルネ・ダンジュー
A.O.Cアンジュー地域内で作られるカベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニョン種が主体のロゼ。
Rosé d’Anjou【ロゼ】
ロゼ・ダンジュー
A.O.Cアンジュー地域内で作られるグロロー種主体のロゼ。
Rosé de Loire【ロゼ】
ロゼ・ド・ロワール
A.O.CアンジューとA.O.Cトゥーレーヌの地域内で作られる辛口のロゼ。
Saumur【赤・白】
ソーミュール
ソーミュール市の南側に広がる地区。白はシュナン・ブラン、赤はカベルネ・フラン主体。
Saumur Champigny【赤】
ソーミュール・シャンピイ
ロワール川流域で有名な赤の一つ。A.O.Cソーミュールの中で、ソーミュール市に近い8つのコミューンが名乗ることができる。肉付きの豊かなワインを生む。
Saumur Mousseux【泡】
ソーミュール・ムスー
瓶内二次発酵のスパークリングワイン。
Coteaux du Layon【甘口白】
コトー・デュ・レイヨン
ロワール川支流のレイヨン川流域で、過熟または貴腐ブドウとなったピノー・ド・ラ・ロワール(=シュナン・ブラン)作る甘口ワイン。プルミエ・クリュもある。
Quarts de Chaume【甘口白】
カール・ド・ショーム・グラン・クリュ
レイヨン川が蛇行するため霧が発生しやすく、上質な貴腐ブドウを生む。2011年からグラン・クリュを付記することがで認められた。
Bonnezeaux【甘口白】
ボンヌゾー
カール・ド・ショームよりさらに上流にあり、良質な甘口ワインを生む。

トゥーレーヌ地区

トゥール市を中心にソーミュールの東側からオルレアンまで産地が広がります。赤、白、ロゼ、スパークリングと多様なワインが作られます。

Touranie【赤、白、ロゼ、泡】
トゥーレーヌ
トゥーレーヌ地区一帯のA.O.C。テロワールによってブドウや味わいも異なり多様なワインを生む。
Bourgueil【赤、ロゼ】
ブルグイユ
ロワール川左岸に位置。ブルトン(=カベルネ・フラン)主体。ロワール川流域で最高の赤のひとつ。
Saint-Nicolas-de-Bourguil【赤、ロゼ】
サン・ニコラ・ド・ブルグイユ
Chainon【赤、白、ロゼ】
シノン
ロワール川左岸に位置。ブルグイユと同じくカベルネ・フラン主体の赤が秀逸だが、シュナン・ブランの白も作られている。
Vouvray【甘口白、辛口白、泡】
ヴーヴレ
ロワール川右岸。ピノー・ド・ラ・ロワール(=シュナン・ブラン)で作られる様々なタイプの白。
Montlouis-sur-Loire【甘口白、辛口白、泡】
モンルイ・シュール・ロワール
ロワール川左岸。ヴーヴレと同じく様々なタイプの白ワインが作られる。

サントル&ニヴェルネ地区

ロワール川最上流産地。穏やかな起伏の丘陵地帯にブドウ畑があり、ロワール川を挟んで左岸の「サンセール」、右岸の「プイイ・フィメ」が代表的な銘柄です。

Sancerre【 赤、ロゼ、白】
サンセール
地区を代表する産地。大半がソーヴィニョン・ブランの白。石灰質とケイ酸質の土壌から爽やかなワインが作られる。ピノ・ノワールから赤、ロゼも作られる。
Pouilly Fumé【白】
プイイ・フィメ
地区を代表する産地。プイイ・シュル・ロワール村を中心とするソーヴィニョン・ブランから作られる白。地元ではフィメ・ブランとも呼ばれる。キンメリジャン(牡蠣の化石)土壌やシレックス(ケイ酸質のれき岩)土壌から爽やかなワインを生む。プイイ・シュル・ロワールは、プイイ・フィメと同一の生産地区でシャスラ100%で作られる。
Menetou-Salon【赤、白、ロゼ】
メヌトゥー・サロン
サンセール西側に広がる。白はソーヴィニョン・ブラン。赤、ロゼはピノ・ノワール。
Quincy【白】
カンシー
シュール川左岸の穏やかな丘陵地帯ひ広がる産地。熟した果実味のある爽やかなワインを生む。
Reuilly【赤、白、ロゼ】
ルイイ
白はソーヴィニョンブラン、赤はピノ・ノワール、ロゼはピノ・ノワールやピノ・グリが使われる。
Coteaux du Viennois【赤、白】
コトー・デュ・ジェノワ
白はソーヴィニョン・ブラン、赤はガメイとピノ・ノワールがブレントされる。
Châteaumeillant【ロゼ】
シャトーメイヤン
ガメイを直接圧搾した色の淡いロゼ(グリ)。2010年にA.O.Cに昇格した。サントル・ニヴェルネ地区で最も新しいA.O.C。

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