2018年11月2日、ブルゴーニュのルイ・ジャド社によるプレミアムワイン試飲会(@大阪)に参加してきたのでレポートです。主催は正規インポーターの日本リカーさんです。
副社長 チボー・ガジェ氏が来日
まずルイ・ジャド社ですが、言わずと知れたブルゴーニュの大手「ネゴシアン」兼「ドメーヌ」です。ネゴシアンとしては、契約農家からブドウを買い付ける形でワインを醸造、ドメーヌとしてはブルゴーニュ全域に広大な自社畑を所有しており、安定して高品質なワインを造り続けています。
今回、来日して解説くださったのは、現在ルイ・ジャド社を経営するガジェ家の長男チボー・ガジェさんです。
チボーさんは、ブルゴーニュ生まれのブルゴーニュ育ち。大学では経営学(醸造学ではなく)を学び、これまで中国、北米、NZなどのインポーターでキャリアを積んだようです。現在はルイ・ジャド社の副社長であり、米国オレゴンプロジェクトの責任者でもあります。恐らく次期社長でしょう。
この日はメガネ姿でしたが、メガネやホクロの感じがオリラジの藤森さんに似ています(イケメンです)。今回は英語でのプレゼンテーション。ブルゴーニュの最新事情や米国オレゴンでのワイン生産についてお話して下さいました。
試飲・良質商品
試飲レポです。今回はカジュアルラインからグラン・クリュまで約30品のテイスティングができました。その中から良かったものをご紹介します。
白ワイン
まずは白ワインから。
スティール・シャルドネ(2016)
こちらは最もカジュアルな商品です。樽熟成していないシャルドネで、ブドウ本来の果実感を味わうことができます。味わいもスムースでグイグイいけます。
ブーズロン(2015)
フレッシュで果実味が豊かです。厚みもあります。酸味は穏やかで、アリゴテにありがちな尖った印象はなく、普通にシャルドネと間違います。
ペルナン・ヴェルジュレス「クロ・ド・ラ・クロワ・ド・ピエール」(2014)
こちらは自社畑で、いわゆるドメーヌものです。個人的にはソムリエ師匠からの影響で何度もリピートしている商品です。正直2014年は少し物足りない(以前のヴィンテージの方が質が高い)と感じますが、香りやミネラル感のバランスが良いです。
ムルソー(2016)
作柄から2016年は薄いワインが多いと感じていますが、こちらはねっとり感があり好みです。
ピュリニー・モンラッシェ・1級「クロ・ド・ラ・ガレンヌ」(2015)
完璧だったのがこちら。香り高く芳醇。液体の厚みや余韻も素晴らしく、こってり好きにはたまりません。価格もそこそこしますが価値はあります。
赤ワイン
続いて赤ワインです。
コード・ド・ニュイ・ヴィラージュ・ルージュ「ル・ヴォークラン」(2012)
果実味と樽香のバランスが良い印象です。価格も良質なブルゴーニュにしては手頃感があります。
ペルナン・ヴェルジュレス・ルージュ・1級「アン・カラドゥ・クロ・ド・ラ・クロワ・ド・ピエール」(2013)
白でも同じ銘柄がありますが、赤の場合はプルミエ・クリュ(1級格付け)になるようです。師匠のソムリエいわく「渋柿のようなタンニン」。細かく張り付くようなニュアンスがあります。ただし決して不快感があるものではなく、タンニンと中和する塩分の強い食品(塩気の強いチーズなど)と合わせると、良さが引き立つのではないかとのことです。
ヴォルネイ・1級「クロ・ド・ラ・バール(モノポール)」(2011)
こちらは好き嫌いがありそうですがピックアップ。2011年ですが香りに熟成感があります。人によっては“ひねたワイン”と感じるかもしれませんが、この手のワインが好きな人もいそうです。
コルトン・グレーヴ(2011)
外観は色が抜けて熟成してきた印象ですが、香りはまだまだフレッシュ。口当たりはスムースながらタンニンと旨みはしっかり。以前にコルトン・プジェ(2015)も飲みましたが、コルトン・プジェがムキムキマッチョな印象だったのですが、こちらは細マッチョと言った印象でしょうか。安いワインではないのですが、美味しいのでグイグイ飲んでしまいそう…。
クロ・ヴージョ(2012)
さすがに高級ワインともなるとパワフルです。香り、味わい、全てで“密度高め”といった印象で、今飲むのではなく、しばらくセラーで寝かせて味わうワインでしょう。若い頃は頑固で取っつきにくいですが、歳を重ねて脱力したときに本当の魅力が見えそうです。
レゾナンス・ヴィンヤード・ピノ・ノワール(2014)
最後に、レゾナンス・ヴィンヤード・ピノ・ノワール(2014)。こちらはブルゴーニュではなく、ルイ・ジャド社がアメリカのオレゴン州で作るワインです。ポッテリとしていて、甘み(アルコールのヴォリューム感)を感じます。ブルゴーニュがブラックコーヒーやストレートティーなら、こちらはカフェオレやミルクティーと言った印象でしょうか。
ヴィンテージ情報
以下はブルゴーニュの最新ヴィンテージについて得られた情報と個人的な感想です。
豊作。ブドウの選果も必要ないくらい品質が良かったという。(現在熟成が始まった頃)
収穫量が数年ぶりにブルゴーニュの平年並みに戻った。ワインは15年と似ているが酸がやや多いと言う。(今後蔵出しされる)
現在流通している最新のヴィンテージ。不作に見舞われて収量が非常に少ない。4月の遅霜でブルゴーニュの約90%の畑で被害があったという。ワインはシルキー、スムースといった印象。早くから楽しむ分には良いことも。
7月に40度を超える猛暑が続いた。収量は平年の25%〜30%減少だが品質は良い。赤ワインはタンニン豊富で長期熟成向き。白ワインもしっかりした物が多い。
以上、試飲会レポートでした!